文学

穂村弘から始まった現代短歌──「ほむほむ」と、その後に続く歌人たち

「子供よりシンジケートをつくろうよ『壁に向かって手をあげなさい』」この一首から、日本の短歌は変わってしまった、と言って言い過ぎではないと思う。1990年に刊行された穂村弘の第一歌集『シンジケート』は、それまで「結社」と「文語」を軸に守られて...
文学

アントニオ・タブッキ──現実の縁(へり)に立つイタリアの幻視者

「夢は嘘をつかない、嘘をつくのは現実のほうだ」──そう言わんばかりの小説を書きつづけた作家がいる。アントニオ・タブッキ。1943年にイタリアのピサに生まれ、2012年にリスボンで亡くなった。イタリア人でありながらポルトガル文学の研究者であり...
文学

100年前の不安が、なぜ今の私たちに刺さるのか──現代を生きる人のためのカフカ入門

ある朝、目を覚ますと、自分が「不要な存在」になっていた。会社のSlackには、なぜか自分だけが招待されていないチャンネルがある。理由は誰も教えてくれない。アカウントが突然BANされ、AIが書いた定型文が返ってくるだけで、何が違反だったのかは...
文学

シャーウッド・アンダスンから始まる20世紀アメリカ文学——ある「ぎこちなさ」の系譜

はじめに——なぜアンダスンから始めるのか20世紀アメリカ文学の見取り図を描くとき、起点をどこに置くかは案外むずかしい。マーク・トウェインから語り起こす人もいるし、ヘンリー・ジェイムズの心理小説を出発点にする人もいる。けれども、「20世紀的な...
文学

凍土を見つめる透明な眼——長谷川四郎という思想の在りか

はじめに——いま、長谷川四郎を読む意味長谷川四郎(1909-1987)という名前を、いまどれだけの人が記憶しているだろうか。シベリア抑留体験を題材にした『シベリヤ物語』『鶴』の作者として戦後文学史に名を刻みながらも、彼の存在感は、たとえば大...
文学

砂漠と密林と亡霊たち——ラテンアメリカ文学を読もう

『百年の孤独』が新潮文庫に入ったのは2024年6月のこと。それまで「文庫化したら世界が滅びる」と冗談半分に言われていた本がついに手のひらサイズになり、書店の平積みで売り切れが続出した。あの夏に初めてラテンアメリカ文学が気になった、という人も...
文学

Z世代こそ読むべき昭和の文学30選——入門から上級まで、いま「沼る」名作ガイド

「昭和の文学」と聞くと、教科書で名前だけ知っている、堅そう、難しそう——そんなイメージを持っている人も多いかもしれません。でも、実は昭和文学にはZ世代の感性にこそ刺さる「沼」がたくさんあります。承認欲求、推し活、自分探し、メンタルヘルス、社...
ミステリー

「やられた!」と叫びたくなる——叙述トリックのおすすめミステリー小説10選

ミステリーを読む醍醐味のひとつに、「叙述トリック」があります。事件のトリックではなく、物語の語り方そのものに仕掛けが施されている——読者の思い込みや先入観を巧みに利用し、最後の一行、あるいは何気ない一文で世界がぐるりと反転する。読み終えた瞬...