本屋で気になる本を見つけたとき、ふと迷うことがあります。
「この本、前に買わなかっただろうか」
表紙には見覚えがある。しかし、読んだ記憶までははっきりしない。自宅の本棚にあるような気もするし、電子書籍で買ったような気もする。
迷った末に購入し、家へ帰って本棚を確認すると、同じ本がすでに並んでいた。
本をたくさん読む人ほど、このような経験は珍しくありません。
まったく同じ本を二冊買うこともあれば、単行本で持っている本の文庫版を買ったり、紙で持っていることを忘れて電子書籍版を購入したりすることもあります。
これは記憶力だけの問題ではありません。
紙の本、電子書籍、図書館で借りた本、以前手放した本など、読書の記録が複数の場所に分散していることが大きな原因です。
この記事では、同じ本を何度も買ってしまう理由と、紙・電子書籍をひとつのデジタル本棚で管理する方法を紹介します。
なぜ同じ本を二度買ってしまうのか
一度読んだ本や購入した本を、すべて正確に覚えておくのは難しいものです。
数十冊程度なら記憶できても、何年も読書を続けていると、出会った本は数百冊、数千冊と増えていきます。
特に、次のような本は重複して購入しやすくなります。
- 買ったまま読んでいない本
- 何年も前に読んだ本
- 内容は覚えているがタイトルを忘れた本
- タイトルは覚えているが、所有しているか分からない本
- 電子書籍で購入した本
- 図書館で借りて読んだ本
- 一度手放した本
- 表紙が変更された本
- 文庫化や新装版が刊行された本
- 長いシリーズの途中の巻
「読んだことがある」と「現在所有している」は、同じではありません。
以前図書館で借りた本なら、読んだ記憶はあっても自宅にはありません。一度買って手放した本なら、購入した記憶はあっても、現在は持っていません。
反対に、買ったまま積読になっている本は、所有していても読んだ記憶がありません。
こうした違いを記憶だけで管理しようとすると、だんだん分からなくなってしまいます。
紙と電子書籍で本棚が分散している
現在は、すべての本を同じ形式で読むとは限りません。
好きな作家の本は紙で買う。移動中に読む本は電子書籍にする。高価な専門書は図書館で借りる。絶版になった本は古書店で探す。
このように、本によって入手方法を使い分けている人も多いでしょう。
紙の本なら、自宅の本棚を見れば確認できます。しかし、電子書籍は複数のストアに分かれている場合があります。
- Kindle
- 楽天Kobo
- Apple Books
- 出版社や書店の電子書籍サービス
- 漫画アプリ
- 読み放題サービス
購入履歴がそれぞれ別の場所にあるため、あるストアだけを検索して「持っていない」と判断しても、別のサービスで購入済みということがあります。
さらに、紙の本も一か所にあるとは限りません。
リビングの本棚、仕事部屋、寝室、実家、収納箱などに分かれていると、店頭ですぐに確認することはできません。
そこで必要になるのが、実際の保管場所や形式にかかわらず、所有している本をまとめて確認できるデジタル本棚です。
表紙が変わると同じ本だと気づきにくい
同じ作品でも、刊行時期や版によって表紙が大きく変わることがあります。
単行本から文庫本になるときに装丁が変わる。映画化に合わせて俳優の写真を使ったカバーになる。新装版として別のデザインで発売される。
海外文学の場合は、出版社や翻訳者が異なる別の版が刊行されることもあります。
書店で表紙だけを見ていると、新しい作品だと思って手に取ったものが、以前読んだ本の新版だったということがあります。
同じ作品か迷ったときは、表紙だけでなく、次の情報も確認します。
- 著者名
- 原題
- 翻訳者
- 出版社
- 刊行年
- ISBN
- 収録作品
- 改訂や加筆の有無
同じ物語でも、翻訳や収録内容が異なるなら、別の版を買う意味があるかもしれません。
大切なのは、重複をすべて避けることではありません。
すでに持っていることを知らずに買うのではなく、違いを理解したうえで、もう一冊必要かどうかを選べる状態にすることです。
「読んだ本」と「持っている本」を分けて考える
蔵書を管理するときは、「読んだかどうか」だけで分類しようとすると混乱しやすくなります。
読書状況と所有状況は、別の情報だからです。
たとえば、一冊の本には次のような状態が考えられます。
| 読書状況 | 所有状況 |
|---|---|
| 読了した | 紙で所有している |
| 読了した | 電子書籍で所有している |
| 読了した | 図書館で借りた |
| 読了した | 以前持っていたが手放した |
| 読んでいる | 紙で所有している |
| 未読 | 電子書籍で購入済み |
| 未読 | まだ購入していない |
| 途中でやめた | 現在も所有している |
「読了」と記録されていても、現在持っているとは限りません。
また、「読みたい本」だと思っていたものが、実は購入済みの積読本という場合もあります。
本を買う前に確認したいのは、主に所有状況です。一方、次に読む本を選ぶときに確認したいのは、読書状況です。
この二つを分けて記録すると、蔵書を把握しやすくなります。
すべての本を一つのデジタル本棚にまとめる
重複購入を防ぐためには、紙の本だけを管理するのではなく、自分が出会った本を一つの場所へまとめることが大切です。
デジタル本棚には、次のような本を登録します。
- 自宅にある紙の本
- 電子書籍で購入した本
- 読み放題サービスで読んだ本
- 図書館で借りた本
- 以前持っていた本
- 読み終えて手放した本
- 途中で読むのをやめた本
- これから読みたい本
本をどこで入手したかに関係なく、一つの本棚を検索すれば、過去にその本と出会っているか確認できる状態を作ります。
読書管理サービスのブクマでは、タイトル、著者名、キーワードから本を探して自分の本棚へ登録できます。
本棚に登録した本は、絞り込みや並び替えをしながら確認できます。感想や評価、メモも残せるため、「読んだことはあるが、現在は持っていない」といった情報を記録しておくこともできます。
ブックリストで所有状況を分類する
本の数が増えてきたら、すべてを一つの一覧で管理するだけでは分かりにくくなることがあります。
その場合は、所有状況に合わせてブックリストを作ります。
たとえば、次のような分け方ができます。
- 紙で所有
- 電子書籍で所有
- 図書館で借りた
- 読み放題で読んだ
- 手放した本
- 購入を検討中
- 次に読む本
- お気に入り
- 再読したい本
ブクマでは、自分のスタイルに合わせて自由にブックリストを作成できます。
すべての人が同じ分類を使う必要はありません。
紙と電子書籍を区別する必要がなければ、「所有している本」という一つのリストだけでも十分です。
反対に、複数の電子書籍サービスを使っているなら、
- Kindleで所有
- Koboで所有
- Apple Booksで所有
のように分けてもよいでしょう。
重要なのは、あとで自分が見たときに、その本をどこで確認できるか分かることです。
書店で買う前にデジタル本棚を確認する
デジタル本棚を作っても、購入前に確認する習慣がなければ、重複購入は防げません。
書店や古書店で気になる本を見つけたら、購入する前に次の順番で確認します。
- タイトルで検索する
- 著者名でも検索する
- 同じ作品の別版が登録されていないか確認する
- 所有している形式を確認する
- 本当に別の版も必要か考える
確認には、それほど長い時間はかかりません。
自宅の本棚へ電話で問い合わせたり、複数の電子書籍アプリを一つずつ開いたりするより、一つのデジタル本棚を検索するほうが簡単です。
すぐに判断できない場合は、その場で購入せず、「購入を検討中」や「気になる本」のリストへ入れておく方法もあります。
記録しておけば、忘れる心配はありません。
一度家に帰り、持っている本や電子書籍を確認してから購入を決められます。
これは重複購入を防ぐだけでなく、衝動買いや積読を増やしすぎないためにも役立ちます。
積読の整理については、積読を減らす方法|「読みたい本」を増やしすぎない読書管理のコツでも紹介しています。
漫画やシリーズものは巻数まで確認する
漫画、ライトノベル、長篇シリーズは、同じ本を買うというより、すでに持っている巻をもう一度買ってしまうことがあります。
シリーズが長くなると、
「第7巻まで読んだ」
「第8巻は買ったが、まだ読んでいない」
「第9巻を買ったか分からない」
といった状態になりがちです。
特に、新刊が出る間隔が長いシリーズでは、前回どこまで購入したかを忘れやすくなります。
シリーズものを管理するときは、「何巻まで読んだか」だけでなく、「何巻まで持っているか」も確認します。
新刊を見つけたら、タイトルだけでなく巻数までデジタル本棚で検索する習慣をつけましょう。
限定版、特装版、通常版がある場合も注意が必要です。付録や収録内容に違いがあるのか、それとも本編は同じなのかを確認してから選びます。
手放した本も記録から削除しない
本を売ったり、人に譲ったりしたとき、デジタル本棚からも削除したくなるかもしれません。
しかし、手放した本の記録は残しておくことをおすすめします。
記録を完全に削除すると、数年後に同じ本を見つけたとき、
「これは以前読んだ本だっただろうか」
「持っていたが手放した本だっただろうか」
と、また分からなくなってしまうからです。
「手放した本」というブックリストを作り、所有中の本とは分けて残しておけば、過去にその本と出会ったことを確認できます。
また読みたいと思ったなら、もう一度購入してもかまいません。
一度手放した本を買い直すことは、間違った重複購入ではありません。過去の記録を確認したうえで、今の自分が必要だと判断した購入です。
本棚の整理と、手放す前に読書記録を残す方法については、本が捨てられない人へ|本棚を整理する基準と、手放す前に読書記録を残す方法も参考にしてください。
最初からすべての蔵書を登録しなくてもよい
デジタル本棚を作ろうとすると、自宅にある本をすべて登録しなければならないように感じるかもしれません。
何百冊もの本を一度に登録しようとすると、それだけで疲れてしまいます。
最初から完璧な蔵書目録を作る必要はありません。
たとえば、次のような小さな範囲から始められます。
- 最近購入した本だけ登録する
- 今読んでいる本を登録する
- 好きな作家の本だけ登録する
- 本棚の一段だけ登録する
- 電子書籍だけ先に登録する
- 次に書店へ行ったときから記録する
一日10冊ずつでも、少しずつ続ければデジタル本棚は育っていきます。
登録されていない本を見つけたときに追加するくらいでもかまいません。
読書管理を始める目的は、本を管理する作業を増やすことではありません。本を探したり、選んだり、読み返したりする時間を豊かにすることです。
詳しい始め方は、読書管理アプリで自分だけの本棚を作る|読んだ本・読みたい本を「ブクマ」でまとめて管理で紹介しています。
これまでの読書記録を移行する
すでに別の読書管理サービスを使っている場合、過去の記録を最初から手作業で登録し直すのは大変です。
ブクマでは、ブクログに登録していた本や感想をCSVファイルから移行できます。
これまで積み重ねてきた記録を残したまま、新しいデジタル本棚を始められます。
過去の読書記録を移行しておけば、本を買う前に以前読んだかどうかを確認できます。現在の蔵書を追加すれば、「読んだ本」と「持っている本」の両方を一つの場所で振り返れるようになります。
移行方法については、ブクログからブクマへ、かんたんに引っ越しできるようになりましたをご覧ください。
重複購入を完全になくす必要はない
同じ本を二冊持つことが、必ずしも悪いわけではありません。
保存用と読むための本を分けたい。好きな装丁の版を集めたい。原書と翻訳版を比較したい。異なる翻訳を読み比べたい。大切な本を誰かに贈るために、もう一冊買いたい。
そのような重複には、はっきりした理由があります。
避けたいのは、すでに持っていることを知らないまま買い、あとで残念な気持ちになることです。
蔵書が記録されていれば、書店で別の版を見つけたときにも、
「単行本は持っているが、この新訳版も読んでみたい」
「電子書籍で持っているが、好きな本なので紙でも残したい」
と、自分で選べます。
蔵書管理は、本を増やさないためだけのものではありません。
自分が何を持ち、何を読んできたかを知ったうえで、新しい一冊を選ぶためのものです。
ブクマで紙と電子書籍をまとめて管理する
読書管理サービスのブクマでは、気になる本を検索して自分の本棚に登録できます。
感想や評価、メモを残せるほか、自分の使い方に合わせてブックリストを作成できます。
たとえば、
- 紙で持っている本
- 電子書籍で持っている本
- 図書館で借りた本
- 手放した本
- 次に読みたい本
- お気に入りの本
といったリストを作れば、保管場所や形式が違う本も一つのデジタル本棚で確認できます。
本屋で気になる本を見つけたときは、まずブクマで検索する。
読み終わったら、一言だけ感想を残す。
本を手放したら、記録を消さずにリストを移す。
その小さな習慣を続けることで、自分が出会ってきた本の全体像が少しずつ見えるようになります。
本を管理すると、新しい本を選びやすくなる
同じ本を二度買ってしまうのは、本を大切にしていないからではありません。
むしろ、長く読書を続け、紙や電子書籍、図書館など、さまざまな方法で本と出会ってきた結果です。
それぞれの場所に散らばっている記録を一つのデジタル本棚へまとめれば、持っている本をすぐに確認できるようになります。
そして、蔵書管理の価値は重複購入を防ぐことだけではありません。
忘れていた本を見つける。途中だったシリーズを思い出す。昔好きだった作家と再会する。以前手放した本を、もう一度読みたいと気づく。
本棚を記録することは、過去の読書を整理しながら、次に読む一冊を見つけることでもあります。
まずは、今手元にある一冊から登録してみてください。
その一冊が、紙と電子書籍を越えて、自分が出会ってきたすべての本をつなぐ本棚の始まりになります。

